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2025.07.01

AIとデータをつなぐ新しい試み:Model Context Protocol(MCP)とは?

―AIとデータをつなぐ新しい試み:Model Context Protocol(MCP)とは?―

 

はじめに

近年、AIアシスタントの進化は目覚ましいですが、その能力はしばしば「データへのアクセス」という壁に阻まれてきました。AIがより賢く、私たちにとって役立つ存在になるためには、様々な場所に存在するデータに安全かつ効率的にアクセスできる必要があります。

Anthropic社は、この課題を解決するため、「Model Context Protocol(MCP)」という新しい技術標準を発表しました。

本記事では、Anthropic社の公式発表「Introducing the Model Context Protocol」を基に、このMCPがどのようなもので、何を目指しているのかをAIに詳しくない方にも分かりやすくご紹介します。

 

目次

  1. AIが直面する「データへの壁」
  2. Model Context Protocol(MCP)とは?
  3. MCPの主な特徴と導入メリット
  4. MCPで何ができるようになる?
  5. まとめ

1. AIが直面する「データへの壁」

Anthropic社の公式発表によれば、AIアシスタントは推論能力や応答の質において急速に進歩していますが、データが様々なシステムや場所に分散しているため、その能力を十分に発揮できていない側面があるとのことです。

データがそれぞれの場所に孤立しているため、新しいデータソースにAIを接続するたびに、専用の複雑な仕組みを個別に構築する必要がありました。これにより、AIとデータを連携させたシステムを大規模に展開することが難しくなっています。

2. Model Context Protocol(MCP)とは?

出典:What is Model Context Protocol (MCP)? How it simplifies AI integrations compared to APIs –

MCPは、このようなAIが直面する「データへの壁」に対応するために開発されました。Anthropic社の発表によると、MCPはAIシステムと様々なデータソース(コンテンツリポジトリ、ビジネスツール、開発環境など)を接続するための「ユニバーサルでオープンな標準」とされています。

これまでのバラバラな接続方法をMCPという一つの標準に置き換えることで、AIが必要なデータにアクセスするためのよりシンプルで信頼性の高い方法を提供することを目指しています。

 

3. MCPの主な特徴と導入メリット

公式発表に基づくと、MCPは以下のような特徴を持っています。

‐オープンスタンダード‐

誰でも利用・開発に参加できるオープンな技術標準です。

‐セキュアな双方向接続‐

データソースとAIの間で、安全なデータのやり取りを可能にします。

‐断片化された統合の置き換え‐

データソースごとに個別の接続方法を開発するのではなく、MCPという共通のプロトコルで対応することを目指しています。

 

MCPの導入により、開発者はデータソースごとに個別のコネクタを管理する必要がなくなり、標準プロトコルに基づいて構築できるようになります。これにより、AIシステムが必要なデータにアクセスするためのよりシンプルで信頼性の高い方法が提供されます。

4. MCPで何ができるようになる?

MCPが普及することで、以下のような活用シナリオが考えられます。

 

企業内データの活用: 企業が持つ様々な部署のデータ(顧客情報、販売データ、社内文書など)にAIアシスタントが安全にアクセスし、より精度の高い分析やレポーティングを行うことができるようになる可能性があります。

開発環境との連携: 開発者が利用するコードリポジトリや開発ツールとAIが連携し、コード補完やデバッグ支援などがより効率的に行えるようになることが期待されます。

個人の情報管理: ユーザーが利用する様々なサービス(メール、カレンダー、クラウドストレージなど)の情報をAIが横断的に理解し、よりパーソナルなアシスタント機能を提供できるようになる可能性が考えられます。

 

これらのシナリオは、MCPによってAIシステムがデータから孤立した状態を脱し、データに基づいた、より状況に応じた応答を生成できるようになることで実現が期待されています。

既に、様々なMCPサーバーが開発・公開されており、どのようなサーバーが利用可能かについては、こちらから確認することができます。

5. まとめ

Model Context Protocol(MCP)は、AIアシスタントが様々なデータソースと容易に接続できるようにすることを目指したオープンな標準規格です。これにより、AIはより関連性の高い情報を活用し、その能力を最大限に発揮できるようになり、より賢く私たちの役に立つ存在になることが期待されています。

開発者にとって、データ連携の複雑さを軽減し、より効率的なAIアプリケーションの開発を可能にするメリットがあります。

AI技術の進化は、いかにデータと連携するかが鍵となります。MCPは、この連携を標準化し、より多くのAIツールが多様なデータを活用できる未来を切り開く可能性を秘めています。

 

参考

–Introducing the Model Context Protocol –

https://www.anthropic.com/news/model-context-protocol

 

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